南アフリカ産カクタスクォーツ——赤みのある石はなぜあの色なのか
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大きな結晶の表面を、小さな結晶がびっしりと覆っている。そして中心部にはオレンジ〜深い赤茶色の色。カクタスクォーツには紫色だけでなく、赤みやオレンジ色を帯びた個体もあります。この記事では赤い色はどこから来るのか、根拠のある情報だけでまとめました。

1. カクタスクォーツとはどんな石?
カクタスクォーツは、水晶(クォーツ)の一種です。「スピリットクォーツ」「パイナップルクォーツ」とも呼ばれます。
見た目が特徴的で、大きな結晶(親結晶)の表面を、小さな結晶がびっしりと覆っていることが名前の由来です。サボテン(カクタス)に似たとげとげした見た目から「カクタスクォーツ」と呼ばれるようになりました。
| 種類 | 石英(クォーツ)の一種 |
| 硬度 | 7(モース硬度)——比較的硬い |
| 色のバリエーション | 白・透明・紫(アメジスト)・オレンジ・黄色・赤みがかったもの |
| 別名 | スピリットクォーツ、パイナップルクォーツ、スピリットアメジスト |
| 産地 | 南アフリカ・ムプマランガ州ブーケンハウツフック |
参考:FossilEra.com "Cactus/Spirit Quartz"
2. どこで採れる?産地について
カクタスクォーツは南アフリカのムプマランガ州、ブーケンハウツフック(Boekenhoutshoek)で採れます。「マガリースバーグ山脈産」と書かれることがありますが、それは正確ではありません。
「マガリースバーグ産」という誤情報について
この産地の誤った情報が広まったのは、発見当初に採掘場所を秘密にしようとしたことが原因だったと考えられています。現在もマガリースバーグ産と書かれて流通していることがありますが、正式な産地はブーケンハウツフックです。
参考:FossilEra.com "Cactus/Spirit Quartz"
3. あのぼこぼこした形はなぜできる?
カクタスクォーツの形の特徴は、大きな結晶の上に小さな結晶が「二次成長」したことによるものです。
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まず大きな結晶が育つ
地層の中で、最初に親となる大きな結晶(アメジストや水晶)が成長します。 -
その後、小さな結晶が表面を覆う
親結晶の成長が一段落した後、鉱物を含んだ水(熱水)が再び流れ込みます。今度はその親結晶の表面に、小さな二次結晶がびっしりと育ちます。 -
サボテンのような形が完成する
大きな結晶の先端(頂点部分)だけが小さな結晶に覆われずに出ていることが多く、これがカクタスらしい見た目を作り出します。
参考:FossilEra.com / taliandloz.com "Hematoid Quartz"
4. 赤みの正体——鉄のサビ
カクタスクォーツには白・紫・オレンジ・赤みがかったものなど色々ありますが、赤〜オレンジ〜茶色の色の正体は「鉄のサビ(酸化鉄)」です。
赤〜オレンジ色は、ヘマタイトやゲータイトなどの鉄酸化物・水酸化鉄によるものと考えられています。ヘマタイトは日本語では「赤鉄鉱」と呼ばれ、鉄を含む鉱物が酸化してできた鉱物です。
色の違いは「鉄の種類」による
ヘマタイト(Fe₂O₃)が多いと深い赤〜赤茶色になります。一方、リモナイトやゲータイト(水を含んだ鉄の酸化物)が多いと黄色〜オレンジ〜茶色になります。写真の石は中心部ほど赤が濃く、外側にいくほどオレンジ〜アメジストの紫に変わっていますが、これはまさに鉄の量と種類が場所によって違うことを表しています。

| 💡 「かつてはシトリンだと思われていた」:カクタスクォーツのオレンジ色は、かつてはアメジストが自然に加熱されてできたシトリンだと考えられていました。しかし現在では、専門家の多くが「オレンジ色は白い結晶が酸化鉄のコーティングを反射することで見える色だ」と指摘しています。 |
参考:FossilEra.com / taliandloz.com / Mindat.org フォーラム / The Quartz Page "Eisenkiesel"
5. 色によって何が違う?
参考:taliandloz.com "Hematoid Quartz" / FossilEra.com / geologyin.com "Ferruginous Quartz"
7. よくある質問(FAQ)
Q. 「スピリットクォーツ」と「カクタスクォーツ」は同じ石ですか?
A. はい、同じ石です。どちらも南アフリカのブーケンハウツフックで採れる、二次結晶が表面を覆った水晶を指します。他に「パイナップルクォーツ」「スピリットアメジスト」とも呼ばれます。
Q. 赤みの色は人工的に染めたものではないですか?
A. 天然の赤みのある個体の場合、色の正体は酸化鉄(鉄のサビ)です。結晶が育つ過程で鉄を含んだ水が流れ込み、表面や内部に鉄が沈殿したことで自然についた色です。ただし市場には染色処理をした石も存在するため、信頼できるショップから購入するのが大切です。
Q. 赤〜オレンジの色は時間が経っても変わりませんか?
A. 酸化鉄による色は安定しており、通常の保管状態では変色しません。ただし直射日光に長時間当て続けると、アメジストの紫色が褪せることがあります。窓際など強い日差しが当たる場所への長時間の放置は避けるのがおすすめです。
まとめ
カクタスクォーツは、大きな水晶の表面を細かな水晶が覆うことで、サボテンのような独特の形になった石です。主な産地は、南アフリカ・ムプマランガ州のブーケンハウツフックです。
赤やオレンジ、茶色に見える部分は、ヘマタイトやゲータイトなどの鉄を含む鉱物によるものと考えられます。鉄を含む成分が結晶の表面や細かな結晶の間に付着したり、取り込まれたりすることで、このような色合いが生まれます。
紫色の部分はアメジストで、鉄による赤みと重なることで、一つの石の中に赤、オレンジ、紫のグラデーションが見られることもあります。
赤みのあるカクタスクォーツの魅力は、単に「珍しい」ということではなく、鉄の分布や結晶の育ち方によって、一つひとつ異なる色や模様が現れていることです。同じ産地の石でも、それぞれに違った表情を楽しめます。



