8th Veinとは?——「目玉模様=8th」ではなかった、オーシャンジャスパーのVeinの話

オーシャンジャスパーを探していると、ときどき見かける 「8th Vein(エイス・ヴェイン)」 という言葉。大きな丸やぐるぐるとした目玉のような模様を持つ石に、この名前が付いているのを見かけることがあります。

私自身も以前、「こういう目玉模様が8th Veinなのかな?」と思っていました。ところが調べてみると、これは違いました。8th Veinは模様の名前ではありません。

では何を意味するのか。番号が付いている理由は何なのか。そして見た目から8th Veinを判断できるのでしょうか。Ocean Jasper® の採掘に関わってきた Enter the Earth と The Gem Shop の資料をもとに調べました。

参考:Enter the Earth・The Gem Shop(公式資料)

1. そもそも「Vein」って何?

英語の vein(ヴェイン) には「脈」という意味があります。地質学では、岩石の割れ目などをミネラルが満たしてできた、周囲とは異なる帯状・板状の部分を「鉱脈(vein)」と呼びます。

Ocean Jasper® の産地のひとつ Marovato では、異なる Ocean Jasper® の Vein が複数発見されました。そして発見された順番に 1st、2nd……と番号が付けられています。

つまり、8th Vein=「8番目の模様」ではなく、Marovatoで確認された8番目の鉱脈ということです。

2. 1st〜8th Veinは全部Marovatoの話

Ocean Jasper® の産地には大きく Marovato(マロバト) と Kabamby(カバンビー) の2つがあります。「1st〜8th Vein」と呼ばれているのは Marovato 側だけです。Kabamby 産の Ocean Jasper® を「○th Vein」と分類するものではありません。

そのため、Ocean Jasper® なら必ず何th Vein かに分類できるというわけではありません。

3. 最初の4つのVein

Enter the Earth は初期に発見された Vein について比較的詳しい記録を公開しています。

 1st Vein

1999年発見・〜2006年採掘
緑・ピンク・白が多い。オーブは比較的不明瞭なものが多い

2nd Vein

2005年発見・2005〜2006年採掘
色の幅が広く赤や黄色も見られる。bull's-eye(目玉状)のはっきりしたオーブが多いとEnter the Earthが記録

3rd Vein

2013年発見・約6か月採掘
ピンク・緑・白が中心。はっきりしたオーブを持つものもある

4th Vein

2014年発見・約3か月採掘
小さく明瞭なオーブが多い。一部は2nd Veinに似た特徴を持つとされる


その後さらに4つの Vein が確認され、現在は 8th Vein まで知られています。The Gem Shop によると、8th Vein の素材が市場に登場したのは 2022 年です。

4. 「目玉模様=8th Vein」ではない

ネットショップなどを見ると、大きな同心円状の「目玉」のようなオーブを持つものが 8th Vein として販売されていることがあります。そのため「目玉模様=8th Vein」と思ってしまいがちです。(私もそうでした)

しかし Enter the Earth の記録を見ると、2nd Vein にも明瞭な bull's-eye(目玉模様)が多く存在します。3rd Vein にも明瞭なオーブがあり、4th Vein には小さく明瞭なオーブが多く見られます。

  • 「目玉模様があるから 8th Vein」——判断できません。2nd・3rd・4th Vein にも明瞭なオーブは存在します
  • 「小さいツブツブだから初期 Vein」——4th Vein にも小さく明瞭なオーブが多く、複数の Vein に似た特徴が現れることもあります
  • 「Vein ごとに見た目の傾向が異なる」——これは Enter the Earth の記録で確認できます。ただし傾向があるということと、見た目で確実に判定できるということは別です

5. 「小さいツブツブ=初期Vein」でもない

小さなオーブがびっしり集まった Ocean Jasper® を見て「これは 1st〜3rd などの初期 Vein では?」と推測されることがあります。しかし Enter the Earth の記録では 4th Vein にも小さく明瞭なオーブが多いとされており、複数の Vein に似た特徴が現れることもあります。

6. 見た目だけでVeinは分かる?

Vein ごとに見た目の傾向が違うこと自体は、Enter the Earth の記録から確認できます。そのため産地を長く扱ってきた人が、色・オーブ・母体部分・透明感など複数の特徴から「これは 8th Vein らしい」と推測することはあるでしょう。

しかし今回確認した Enter the Earth および The Gem Shop の資料には、「この模様があれば 8th Vein と判定できる」という基準はありません。見た目は手がかりにはなっても、それだけで採掘された Vein を証明するものではないと考えるのが適切です。

7. 今売られているものは全部8th Vein?

8th Vein が現在知られている最新の Vein だからといって、現在市場に出ている Ocean Jasper® のすべてが 8th Vein というわけではありません。

理由

過去に採掘された原石が保管され、何年も経ってから加工・販売されることがあります。The Gem Shop も過去の Vein から採掘された素材を保有・販売していることを説明しています。
また Kabamby 産には 1st〜8th という分類自体がありません。つまり「最近仕入れたから 8th Vein」とも判断できません。

8. 何th Veinかを知るには

最も確実なのは、採掘から流通まで信頼できる産地情報が残っていることです。ただし天然石ではそれが必ずしも簡単ではありません。採掘者・仲介業者・加工業者・卸売業者・小売店……と複数の人を経由する間に、細かな採掘地点の情報が伝わらないことがあります。

そのため、「Madagascar」あるいは「Northwest Madagascar」までは分かっていても、Marovato なのか Kabamby なのか、何th Vein なのかまでは分からない石も存在します。見た目だけで無理に Vein を決めるより、分からないものは「分からない」とする方が正確です。

9. なぜEnter the Earthの情報を参考にするの?

8th Vein について調べると、天然石ショップやブログ、SNS などさまざまな情報が出てきます。この記事では Enter the Earth と The Gem Shop の情報を優先しました。

  The Gem Shop:Paul Obeniche とともに 2000 年に「Ocean Jasper」という名称を付け、初期の流通に関わった会社
Enter the Earth:再発見者 Paul Obeniche の直接の弟子・Nader Kawar が運営。2013 年から鉱山運営を引き継ぎ、2022 年に商標権を取得。The Gem Shop も後に発見された Vein について Enter the Earth が採掘の大部分を行ったと記録している


ただし Enter the Earth・The Gem Shop は学術研究機関ではなく、採掘・流通・販売を行う企業でもあります。この記事でも公開資料から確認できないことについては、推測で補わないようにしています。よくある質問

10. よくある質問(FAQ)

Q. 8th Veinとは8本のVeinがあるという意味?

現在までに Marovato で8つの Vein が確認されており、8th Vein はその8番目を指します。「8本ある」ではなく「8番目に発見された」という意味です。

Q. 8th Veinは2022年に発見された?

The Gem Shop が確認できる形で記載しているのは「8th Vein が 2022 年に市場へ登場した」ということです。「2022 年に発見された」と同じ意味とは限らないため、この記事では「2022 年に市場へ登場」としています。

Q. 目玉模様なら8th Vein?

いいえ。2nd Vein にも明瞭な bull's-eye が多いことが Enter the Earth によって記録されています。目玉模様は 8th Vein だけに現れる特徴ではありません。

Q. 小さいツブツブなら1st〜3rd Vein?

それだけでは判断できません。4th Vein にも小さく明瞭なオーブが多く見られます。

Q. 最近採れたOcean Jasperなら8th Vein?

いいえ。昔採掘された素材が現在販売されることもあり、Kabamby 産には 1st〜8th という分類自体がありません。

Q. 8th Veinの特徴は?

8th Vein として流通する石には一定の見た目の傾向が語られていますが、今回確認した採掘当事者側の資料からは「この特徴があれば 8th」と判定できる十分な基準を確認できませんでした。そのためこの記事では、販売サイトによる特徴の説明を事実として掲載していません。

まとめ

「8th Vein」と聞くと、特殊な模様を持った種類のように思えます。しかし実際には、Marovato で確認された8番目の Vein から産出した Ocean Jasper® を指す言葉です。

大きな目玉模様が 8th Vein だけに現れるわけでも、小さなツブツブが初期 Vein だけに現れるわけでもありません。Vein ごとに見た目の傾向はありますが、それだけで採掘場所まで確実に判断することはできません。

今回調べてみて一番印象に残ったのは、「分からないものは、分からない」ということでした。天然石は自然のものなので、すべてがきれいに分類できるわけではありません。番号が分からなくても、その石の色や模様そのものの魅力は変わりません。その複雑さも含めて、Ocean Jasper® のおもしろさなのだと思います。

 

主な参考資料

Enter the Earth
「The Geology, Varieties, and History of Ocean Jasper® Part One」
「Ocean Jasper®」

The Gem Shop
「Ocean Jasper History」

 

 




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